大人数のメンバーが直接会って会議室で話し合う―。企業や団体の活動として定着してきた習慣が、新型コロナウイルスの影響で変わりつつある。苫小牧青年会議所(JC)は2月から、オンライン会議システム「ズーム」を積極的に活用している。密閉、密集、密接の「3密」を避ける有効手段だが、運営には課題も。若き経済人らが新しい時代に対応しようと試行錯誤している。
5月19日に苫小牧JCとしては初めて、オンラインのオープン例会を開催した。「サスティナブルな経済活動の実現へ~自ら行動を起こし未来を切り拓く経済人となれ~」をテーマに、金沢市の企業経営者の講演と事前収録したパネルディスカッション、モニター画面越しの質疑応答を展開した。
JC関係者を中心に約90人が2時間程度、自宅や事業所などから例会に参加した。新型コロナの影響により多くの業界で売り上げが減る中、逆境を乗り越えるヒントを見つけようと、机に置いたパソコンや手に取ったスマートフォンから、真剣な表情で講演などを視聴。離れていても会議に参加できるメリットは大きかった。
一方で運営には課題が残った。会議室の3密を避ける取り組みのはずが、JC幹部や運営メンバー6~7人が進行や撮影のため、約20平方メートルの部屋に集まった。カメラの前で発言するメンバー以外はマスクを着用し、時間帯によって数人が別室に移るなど、感染防止に気を配ったが「密」はゼロにはならなかった。
音声を拾って画面が切り替わるシステム上、撮影場所では大声を出せず、ジェスチャーや小声で意思を伝える場面が生じた。視聴者数が増えると画像は乱れ、人の顔がぼやけて識別できなくなることも。「顔だけしか見えず参加している感じがしない」「実際に会って話さないと熱量が伝わらない」などのデメリットを指摘する声もあった。
それでも、そんなデメリットを克服しようと努力を重ねており、阿部和法理事長(39)は「大勢が3密を避けられ、移動時間がかからないなど、メリットは多い」と語る。JCの会合は通常、苫小牧市内のホテルで開いているが、100人以上が1部屋に集まることもあった。新型コロナの対応策として2月にオンライン会議を導入。これまで10回以上開いているが、参加者から「会議に無駄な時間がなくなり、家族と過ごす時間が増えた」など好評を得ている。
北海道中小企業家同友会苫小牧支部の若手組織、友知会も5月、意見交換会でズームを活用した。藤淳一会長(43)は「せっかくの機会なので、ズームをマスターしたい」と新しい会議の在り方に前向きに取り組む。
苫小牧北ロータリークラブも9日予定の例会で、オンライン会議の導入を検討中。友廣久之会長(61)は「感染が心配だったり、移動が困難だったりする人が、オンライン参加できるよう準備を進めたい」と話す。
オンライン会議はメンバーが新型コロナで直接会えない状況下でも、物事を進める手段として定着しつつある。阿部理事長は「コロナ前から、オンライン会議の導入を検討してきた」と有用性を強調。「今後も活用が広がっていくのではないか」とみている。
(室谷実)