新型コロナウイルス対策の特別定額給付金10万円の苫小牧市の申請書に「金融機関コード」の記入欄がある。これに対し、普段書く機会も無く、高齢の両親には理解できないと指摘し、行政には「庶民感覚が無い」とする投書が寄せられた。「なんでもトーク」に掲載したところ、金融機関コードは通帳に書いてある、という反論も届いた。確かに書いてはある。だが問題は、普段使わない、どこに書いてあるか分からない人も多い数字の記入を、全世帯に求めたことにあるように思う。
総務省の見本にも金融機関コードの記入欄はない。釧路市、帯広市にもなく、はるかに人口の多い東京・板橋区でも「分かる場合のみ記入してください」とある。必ずしも本人が書く必要の無いコードの記入を求めたために、困った人からの問い合わせが金融機関にも相次いだ。別の60代女性の投書には「(書類を作る人は)自分のおじいちゃん、おばあちゃんだったら書けるかな? 分かるかな? と考えて作成してみたらどうでしょうか」と提言があった。
ただ苫小牧市は確認作業の人数を大幅に増やし、休日も返上して一日も早い支給に努めている。実際、早い。その投書は「今、役所の皆さまも大変かと思います。どうか頑張ってください」と励ましの言葉で結ばれていた。コロナと向き合わなければならない時代、相手の立場になって考えることはますます大切になると思う。(吉)