新型コロナウイルス感染拡大防止による道内の学校休校に伴って、苫小牧市内の児童生徒が所属するスポーツ団体が、インターネットのビデオ会議アプリ「ズーム」を駆使したリモート練習に力を入れている。4月中旬から活動を自粛した中、指導者とクラブ員や団員が、パソコンやスマートフォンの画面を介して対面し、同時トレーニングを展開。長期にわたる孤独な自主トレのマンネリ化防止にも効果を上げる様子が見られる。
日本リトルシニア中学硬式野球協会北海道連盟に加盟する苫小牧リトルシニア球団は、チームミーティングを5月11日からオンライン上で実施している。本来ならシーズン入りした時期だが、新型コロナによる異例の練習停止に対応しようと試みた。
16日のミーティングには2、3年生の15人が参加し、浜谷千春監督が投手の配球について講義。「初球を打つのが苦手な打者が多い」とした上で、「1球目にストライクを取ると投手有利に展開できる。四球も少なくなる」。初歩的なところから考え方を説明した。
主将で投手の阪田桂多(明野中3年)はネットを使った勉強会について「チームメートと実際に会ってコミュニケーションがとれない中で、お互いの顔を見ながらできるのは良かった」と喜ぶ。浜谷監督は「導入は思ったよりも簡単で、指導者会議でも使えそうだ」と手応えを語った。
昨年夏の全国中学校体育大会柔道女子57キロ級で3位入賞を果たした明野中3年の廣島あおいをはじめ小中学生28人が所属する尚志館當摩道場(水見秀紀代表)は、4月17日から稽古を停止している。当初は無料通信アプリ「LINE」上で筋力トレーニングの実践動画を選手ごとにアップして達成できたかチェックしていた。水見智織コーチが先行的に会議アプリを使ったリモート練習を行う標茶少年団(釧路管内標茶町)の取り組みにオブザーバー参加。各自宅で生き生きとトレーニングに励んでいた団員たちの姿を目の当たりにして「会議型」採用を決めた。
5月12日から毎週火曜、金曜の夜に1時間ほどの練習時間帯を設定。「道場で稽古をしている意識を持ってほしい」と指導者、選手全員が柔道着で参加し、ネット会議の画面に”集合”する。水見秀代表による技術指導、軽快な音楽に合わせたリズム運動などを次々に展開する。
水見智コーチは「毎回、選手たちの柔道がしたい気持ちが伝わってくる。柔道の楽しさを改めて思い起こすことができる練習にしていきたい」。
ネット稽古の締めくくりは、参加した団員1人ずつが元気な声で感想を述べるなど、仲間たちに健在を示して終了となる。「新しい日常」の下、かつてない練習風景となっているが、水見秀代表は「苦しい状況でも向上心を常に忘れず頑張ってほしい」と期待した。