新型コロナウイルスの感染拡大で、特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象が16日、全都道府県に広がった。
国の要請が法律に基づくものになっただけで一人一人が感染予防のためにすべきことは変わらない。感染者数などの違いから自治体の意識はばらばらだが、同じ対策を求められたのは今が瀬戸際だからだろう。
厚生労働省のクラスター(感染集団)対策班の一員、西浦博・北海道大学教授の試算では、外出自粛などの対策を取らなければ重篤患者が国内で85万人に上り、うち約半数は亡くなる可能性がある。大型連休に気の緩んだ行動が増えて感染者が激増すれば、先にあるのは医療崩壊なのだ。
東京都の感染者数は、国際オリンピック委員会が東京五輪・パラリンピックの延期を発表した3月24日直後から急増した。それまでは北海道が「感染者が国内最多の自治体」だったが、すぐにそうではなくなった。ただ、そもそも首都や国内屈指の観光都市より北海道の感染者が多かったのが不自然で、大都市ではPCR検査を抑制し、感染者数を抑えていたのではと疑ってしまう。
物産展が全国各地で中止され、いわば差別をされた自治体の住民としては真偽を問いたいところだが、緊迫する医療現場を思えば今は事態の収束へできることをするのみ。2月の段階で全国初、自治体独自の緊急事態宣言に呼応した道民の力を発揮したい。(林)