今春、北海道栄高校に入学するアブロス沼ノ端スイミングクラブ所属の高橋良汰(15)=苫小牧明倫中出=が、新型コロナウイルスの影響による参加予定イベントの相次ぐ中止にもめげず、4月からの高校ステージに向け意気込んでいる。2019年のJOC夏季大会男子13~14歳50メートル自由形で8位。同年秋には北海道少年男子代表として国民体育大会(茨城県)にも出場した大器は「高校生で日本選手権に出場したい」と力強く語る。
6歳上の兄の影響で小学校3年生から本格的に水泳を志した。「体の使い方が器用で、教えたこともすぐに実践できる」と大江俊彰担当コーチが表現するセンスの持ち主。自由形の短距離種目を主戦場としてきた。
大きく成長したのが昨年。高校生にも劣らない道内屈指のスイマーになり、各種全国大会で存在感を示した。12月下旬の道ジュニアブロック合宿を経て、今年1月に吉報が届いた。全国10ブロックで選考された中学1年生から高校2年生までの男子19人、女子20人のみが参加できる日本水泳連盟シンガポール遠征の一員に決まった。「うれしかった」と高橋は胸を躍らせた。
課題にしてきたスタート時のリアクションタイムが縮まったほか、飛び込み後、潜水中のドルフィンキックも「水をしっかりつかめている」と泳力向上に手応えを感じていた。各種目に設定された標準記録突破が条件のJOC春季大会(3月、東京都)男子50メートル出場に、あと0秒16に迫った。
その矢先だった。新型コロナウイルスの影響で2月上旬にシンガポール遠征の中止が決定。JOC春季大会の道予選も、大会2日前に開催が見送られた。気合を入れていた遠征と大会参加に予想だにしない形でストップがかかったが「これからまだチャンスはある」と気丈に前を向いた。
不完全燃焼に終わった闘志を、改めて高校のステージでぶつける。現段階で今後の大会出場の見通しはまだ立っていないが、新年度初のレースから固く誓っている。「夏のJOCの標準記録を突破できるように、一戦一戦が最後の試合と思って泳ぐ」。心掛けは定まった。
小学5年生から高橋を指導してきた大江コーチは、「高校ではインターハイ出場は当たり前。日本選手権などもう一つ上のステージを見据えながら、もっともっと強くなってほしい」と期待する。