苫小牧市は現在の総合体育館=末広町=を移転新築する方針だ。来年度以降、候補地を選定して構想を固めていく。総工費は50~60億円を想定し、敷地内に各種のスポーツ施設が集中している緑ケ丘公園=清水町=内を軸にしながら建設場所の選定を進め、2020年代後半の完成を目指す。
苫小牧の開基100年を記念する施設として1973年に完成した総合体育館は、これまで数々の大会やイベント会場となり、講習会や練習・トレーニングでも市民が利用してきた。3年後には築50年となる建物の老朽化も進んでおり、メインアリーナでは明らかな床のゆがみが見られる。観客席は1340席(固定席)で不足している―との関係者の指摘も上がっていた。
2016年の市公共施設適正配置基本計画(10カ年計画)は総合体育館について大規模改修が必要と明記。「既存の施設は、最低でも25年までは改修しながら施設を維持し、新しい総合体育館の完成後、解体する」(スポーツ都市推進課)との考えだ。
市が昨年行った利用者向けアンケートでは、約6割が緑ケ丘公園での建て替えを希望した。これを受け、建設候補地としても同公園内が有望視されているが、「市内中心部で、よりよい立地先があれば検討したい」(同課)という。
総工費は50~60億円を見込む。帯広市が築45年で老朽化した総合体育館を建て替え、2月29日に開場した「よつ葉アリーナ十勝」の建設費用や施設概要を目安としながら、苫小牧の施設にはサブアリーナを設け、観客席数は固定席2000、可動式の席を3000の計5000席を確保する案が浮上している。
21年度中に基本構想を取りまとめ、23年度をめどに実施計画策定を目指す。並行して建設地の選定のほか、民間資金活用による社会資本整備のPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)導入検討も進めていく。
新しい総合体育館の建設に注目する屋内競技の指導者は多い。苫小牧でバスケットボールのクラブチームやスクールを運営するPROVOCATOR苫小牧の星野いくみ代表は「サブアリーナができたり、ゴールなどの設備が更新されたりするとうれしい」と話す。Bリーグといったプロリーグ公式戦の会場になり得る規模や設備を望んでいて「開催試合を見れば、子どもたちがトップ選手のプレーを体感するいい機会になる」と期待している。