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  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年3月5日

  きょうは啓蟄(けいちつ)。季節の上では春にもかかわらず、朝から雪かきに汗を流した読者は、多いのではないだろうか。今冬は平年よりも少雪だったが、ここへきて帳尻合わせのように、しっかり雪が降る日が目立つ。気温が高めの影響もあって、湿った雪は重さがたっぷり。本格的な春の到来が待ち遠しい。

   新型コロナウイルス関連の取材が続いている。道知事が緊急事態宣言を出し、週末の外出自粛を呼び掛けるなど、未経験のことばかり。正直に言えば戸惑いもあるが、胆振東部地震や大規模停電など、過去の災害取材の経験を思い出し、ノウハウを総動員しながら、乗り切ろうと考えている。

   その中で情報を伝える難しさ、大切さを今さらながら感じている。感染者の居住地発表を通して、公衆衛生対策と、個人情報保護とのバランスを、考える機会が多い。市民の不安を払拭(ふっしょく)するため、情報をどこまで提供するのか、正確な答えはなかなか見いだせない。

   だが、インターネット交流サイト(SNS)などで、個人が個人を特定しようと躍起になったり、偏見に満ちた中傷があふれたりと、人権を侵害する動きは見過ごせない。根拠がないまま広がるうわさやデマは、誰もが匿名で気軽に情報を発信できるネット社会の落とし穴。苫小牧市長の記者会見の引用だが、冷静な行動をお願いしたい。(金)

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