中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの流行拡大による影響が日本経済にも出始めている。マスクや消毒剤の品薄はすでに医療現場にも及び、稼ぎ時だったはずの春節の観光需要は相次ぐツアーキャンセルで宿泊や観光バスなどを中心に大打撃の様相だ。中国工場の操業停止で日本企業の生産活動も停滞。大手調査会社の東京商工リサーチによると、同ウイルス関連の影響や対応を発表した上場企業は6日現在で78社に上る。中国では10日から多くの地域で企業活動が再開する見通しだが、現地では交通機関が制限されているとの情報もある。日本経済全体が急減速するリスクも想定した上で、事態の長期化も見据えて今後の動きを慎重に見守らなければならないだろう。
一人一人が生活の中で気を付けたいのは感染予防だ。厚生労働省は公式ホームページで「国内は流行が認められている状況ではない」とし、かぜや季節性インフルエンザ対策と同じ取り組みを呼び掛ける。マスクは屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策になるが、まずは石けんやアルコール消毒液による手洗い、せきエチケットが有効という。特に、手洗いは親指の根元や指の股などを念入りに洗うと感染防止効果が高まる。励行してほしい。
クルーズ船の話題など一部で不安をあおる情報もある。現状を正しく認識し、対処するためにも冷静な行動を心掛けたい。(隆)