年初に願う

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年1月10日

  年が明けて苫小牧は雪の少ない天気が続く。太平洋岸式気候の典型。冬は降雪(雨)が少なく晴天が多い。穏やかなのはうれしいが深刻な雪不足は困る。気象においても極端は好まない。

   衝撃的なニュースの一報が年明け早々に流れた。米国によるイラン司令官の殺害。米軍がイラクの空港付近で司令官の乗った車を空爆した。宣戦布告に匹敵する行為だ。報復を公言していたイランは8日、イラクの米軍基地にミサイルを打ち込んだが、両国は戦争は望まないとも明言している。

   米中の貿易戦争に振り回されている世界経済は、緊迫した中東情勢も加わって不安定化し見通しはきかない。穏やかで平和な世の中をとの願いを立てたばかりの日本は、自衛隊派遣も経済も含め身勝手でやり放題で予測不可能な米国の指導者にどう対応する。利己的に既存の枠組みを壊し、危機要素を増やしている米国に追従一路の必要はない。複雑にもつれる中東問題と本格的な戦争の回避へ多方面の外交に奮闘努力を願う。

   安倍首相が改正に執心する憲法は「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは(略)各国の責務である」とうたう。日本は、国の名誉を懸けてこの崇高な理想と目的を達成すると決めた。政府は、両国と世界の平和のための行動で存在感を示してほしい。(司)

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