児童虐待の早期発見や支援の対応を行う千歳市要保護児童地域ネットワーク協議会は3日、市総合福祉センターで研修会を開いた。当該問題で全国的に子供の死亡事件が相次いでいる中、市職員や市内保育、教育施設や児童委員ら約40人が参加。架空の虐待事例の検討を通して、問題が起きた場合の適切な情報共有の大切さを学んだ。
同協議会は千歳市と市内の幼稚園、保育所、認定こども園、小中学校、高校、千歳警察署、道中央児童相談所などの子供に関わる機関で構成される。この日は、児童虐待が発覚した場合に、関係機関の情報共有や解決に向けた支援を考える「個別ケース検討会議」の疑似体験をテーマにした。
適切に対応できるよう、実践的な経験を積んでもらおうと昨年から行っている。検討事例は、父親の暴力によるあざが見つかり、小学4年生の男児が児童相談所に一時保護された後の処遇とした。
元釧路児童相談所長で、市こども福祉部の佐藤薫専門官が司会進行役を務めた。
参加者たちには、各機関のみが持つ個別情報があることを知ってもらおうと、本来の職業とは異なる他職種の役割と各職種にしか与えられないそれぞれの情報が書かれた紙を割り当てられた。
五つのグループに分かれ、「児童がたたかれている間、母親は何をしていたのか」「児童は家に帰りたくないと言っているので、初めての暴力ではないのでは」といった疑問点を出し合いながら、施設を活用した親子の分離を継続するか家庭に復帰させるかについて考えた。
最終的に各グループの検討内容を発表し合い、事例からの学びを深めた。
佐藤専門官は、解決を目指す支援を検討する上で「情報は要」と言う。保護者に対して良い情報とマイナスとなるような情報が交錯する中での対応だけに「総合的に判断しなければならない」と話していた。