何年も前になるが、当方が恵庭に住んでいたころの話。千歳で飲んでいて、つい終電を逃してしまった。タクシーで3000円も掛からないが、そこは酔いどれの怪しい帰巣本能。歩いて帰る決心をした。時間にして約1時間半。行政境界付近の上り下りが意外ときつく、ちょっぴり後悔しながら、両市の近さを体で覚えた。
千歳市と恵庭市が8月末、「連携施策の充実拡大に関する覚書」を交わした。地域経済や観光振興など18分野、26事業で連携し、施策の充実や拡大、効率化を図る目的だ。広域の連携は数多くあれど、隣接する2市であえて覚書まで結び、連携を強化するのは珍しい。絆の深さをうかがわせる。
両市は通勤、通学、買い物など生活圏も重なり、近年は医療や消防、移住促進など協力も盛ん。良好な交通アクセス、「自衛隊のまち」など共通点も多い。歴史をひもとけば、1880(明治13)年に千歳に千歳村、恵庭の漁村、島松村を含めた戸長役場が開庁し、97(同30)年に恵庭が分離独立するまで、同じ行政区域を歩んだ。
さらに両市は道内で数少ない人口増加都市。千歳は10万人、恵庭は7万人を目標に夢が膨らむ施策を展開中だ。連携はさらなる発展はもちろん、将来の人口減も見据えた、堅実さも兼ね備える。具体的な成果が上がるのは来年度以降だが、道内でも類いまれな強力タッグに注目したい。(金)