7 アイシン北海道 加藤(かとう) 裕次(ゆうじ)社長 HV製品が順調 太陽光発電を導入へ

  • 企業トップに聞く 2025, 特集
  • 2025年1月23日
アイシン北海道 加藤 裕次社長

   ―2024年を振り返って。トヨタ自動車の認証不正問題や台風の影響もあった。

   「(昨年5月31日付で社長に就任し)伊藤伯前社長が築いてきた方針、会社運営のやり方を受け継ぎ、試行錯誤でやってきた。上期は認証不正問題や台風の影響もあって売上高は下がったが、下期は盛り返して挽回する動き」

   「24年度の売上高目標は142億円。(過去最高となった22年度の142億4000万円を)下回るかもしれないが、今年度はバルブボデー400万台超、リアケース110万台超など、計750万台超を生産、販売する見通し」

   「(今年度は)下期に向かって原点に立ち返ろうと、安全と品質に対する非常事態宣言を出した。危機感を持って基本に立ち返り、しっかり改善などに取り組む意識醸成を図っている。巳(み)年にちなんで粘り強く、変わるところは脱皮していく」

   ―昨年1月からトヨタの「第5世代」ハイブリッド(HV)車向けのリアカバーも生産している。

   「HVは順調。一気にフル生産ではなく、順調に伸ばしている。(従来の主力製品)バルブボデーは今後下がるだろうが、HV向けのリアカバーはその下落分を上回る見込み。(同社は親会社アイシングループ内で)HVを伸ばす方向にかじを切ると思う」

   「最近はEV(電気自動車)が鈍化し、HVが重宝されている。(トヨタ自動車の次世代エンジン)第6世代の部品生産獲得にも取り組んでいく。お客さまに『作ってほしい』と思ってもらい、HV製品を増やしていけるよう、しっかりと足元を固めていきたい」

   ―脱炭素化にも意欲的に取り組んでいる。

   「太陽光発電設備をいよいよ導入する。PPA(電力販売契約。事業者が太陽光パネルを設置し、同社が電気料金を支払う)で2月に契約し、3月に工事が始まる予定。11月には稼働ができそうで、工場の年間電力の10%を賄う計画。二酸化炭素(CO2)もアイシングループの計画に沿って削減していく」

   「(CO2の排出源となるアルミニウムの)溶解炉が一番の課題。アイシンでは水素の技術開発を進めている。水素バーナーは実証実験も行い、(実用化に向けて)技術的には見えてきたが、LNG(液化天然ガス)に対してコストが高い課題がある。メリットがあるかよく考えないと。ハード対策もやっていくが、現場の生産性や品質を上げて、良い物を無駄なく作ることが、CO2削減にも効いてくると思う」

   ―人手不足への対応は。

   「今年は人とか職場環境の改善にしっかり投資したい。(従業員は)コロナ禍もあって外を見る機会が減っていたが、どんどん愛知県(のアイシン本社)や他社など外に出て交流し、自分たちがどういう立ち位置にいるか見てもらいたい。今までは生産、売り上げを重視し、職場環境の改善も遅れていた部分があるが、将来に向けて一歩踏み込んで取り組んでいく。今いる人を大事にしながら、魅力ある会社に一歩一歩近づけ、地域貢献も積極的に取り組んでいきたい」

  メモ 自動車部品総合メーカー・アイシン(愛知県)の100%子会社。苫小牧東部産業地域で自動車用アルミニウム鋳造部品を生産している。従業員数は昨年12月現在、530人規模。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。