例年12月中旬から始まる胆振沖のサクラマス釣りはここ数年、釣況の本格化が遅れ気味になっている。そうした中、本紙の釣り情報欄に情報を提供してくれている苫小牧港・西港の遊漁船、かつえい丸(田代健二船長)が12日、今季初のサクラマス釣りに出船し、白老沖で小規模の群れを捕捉。はしりの時期としては良型の2・6キロが上がった。乗船者も最終的に”全員安打”を果たし、うれしい開幕ダッシュとなった。
はしりの良型を上げたのは、札幌市南区石山の会社員、伊藤剛さん(48)。自身も今季初釣行で見事、結果を出した。前日までの周辺海域の情報では魚影は薄めで散発的に釣れていた程度。サクラ狙いではよくあるボウズも覚悟しての釣行だった。
それが早朝、水深100メートル前後のポイントに着くと、辺りで時々サクラマスの跳ねが見られるなど、薄いなりに魚影を確認。間もなく乗り合わせた釣り人が今季の同船第1号となる1・6キロを上げると、がぜん船上は活気づき、それぞれバケ仕掛けやジグを精力的に動かした。
とはいえサクラマスは30センチ程度の小型が多いことやスケトウダラの群れがいることもあり、ヒットしてもキャッチに至らないまま時間は経過。乗船6人中、伊藤さんを含む3人はサクラマスの釣果がないまま、釣り終了の時間が近づいた午前11時すぎ、再び釣果がポツポツと出だした。
すると諦めずにメタルジグでしゃくりとフォールを繰り返していた伊藤さんのロッドに、それまでと異なる「ドスン」と暴力的な魚信。水深25メートルの浅めの棚から慎重に巻き上げて水面に姿を見せたのは、最終盤での大逆転となる、船中最大の2・6キロ、体高のある55センチのサクラマスだった。
ヒットルアーは165グラムのジグでカラーはグリーンゴールド。しゃくりとフォールのタイミングを変化させながら組み合わせて誘い、フォールのタイミングで食ってきた。「長めのフォールでふわっとしたアクションで動かすのが効果的に感じた」と振り返った。
魚は帰宅後すぐにさばいて処理し、大好きなルイベにするために冷凍した。「脂が乗っていて、包丁を入れた時も独特の手応えがあった」とうれしそう。伊藤さんは今回の釣行でソウハチを30匹、スケトウも20匹釣り上げている。
田代船長によると、シーズン序盤のサクラマス釣りではボウズは珍しくない。それがこの日は最終的に全員が本命をキャッチした。それも陸上がり30分前に3人が続けざまに釣り上げ、「乗船した全員が釣果を上げられた」と感激の面持ち。サクラマスは船中で15匹、さお頭は5匹を釣ったという。
胆振太平洋海域のサクラマスの船釣りはライセンス制が採用されており、前年12月15日~3月15日の期間中、1日1人10匹の釣獲制限が設けられている。