いつもこんなに

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  • 2024年8月6日
いつもこんなに

  日曜日の正午少し前、JR苫小牧駅南口のバス停で、2人連れの観光客に「このバス、出光カルチャーパークに止まりますか?」と聞かれた。「はい、止まりますよ」とにこやかに答えたまではよかったが、その後の話を聞いて驚いた。海の駅ぷらっとみなと市場に行きたいという2人は、停留所に来る前に案内所で尋ねてきたのか、出光カルチャーパークで降りて歩くという。「えー、ずいぶんありますよ」「はい、20分ぐらいって聞きました」

   市内路線バスの西循環線にぷらっとみなと市場前の停留所はあるものの、右回りの午前11時33分発が行ったばかりで、次は2時間後だ。駅北口からの左回りも午後0時49分発でまだ1時間ある。「初めてのまちだし、景色を見ながらブラブラ行けばいいよね」と話す2人だが、なんだか申し訳ない気持ちになった。市内有数の観光スポットへ行くのに、もう少しダイヤの工夫はできないだろうか。さらに2人は続けた。「駅前っていつもこんなに人いないんですか?」

   苫小牧駅前の再開発は旧商業施設エガオの解体に向け、ようやく動きだした。2人に「もう一度訪れたい」と思ってもらえるまちにできるだろうか―。廃虚ビルを見上げて、そう思った。(吉)

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