安平川から発がん性が指摘されるPFAS(ピーファス、有機フッ素化合物)が国の飲用水の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を超えて検出されたと道が発表したことを受け、安平町は原因追究と安全確保に向けた対応を進めている。16日は町民らに飲用水を提供している町内3カ所の浄水場で水質検査を行った。結果は約1週間後に判明し、ピーファスが測定された場合には活性炭で除去する方針を17日に固めた。
ピーファスが検出された検査は、現在千歳市で工場を建設中の次世代半導体製造ラピダス(東京)へ安平川から工業用水を供給することを踏まえて実施された。
結果の一報は15日に道企業局から及川秀一郎町長に入った。翌16日には同局職員が町役場を訪れ、町長や水道課など関係部局職員約10人に概要を説明。苫小牧市の苫小牧地区工業用水道(苫小牧工水)第2施設の取水地点の安平川の原水から、59ナノグラムのピーファスが測定されたと伝えられた。
同第2施設の上流には、安平町の上水道の取水ポイントとなる北進浄水場、追分本町浄水場、旭浄水場がある。このため町は16日、3浄水場で水質検査を実施。17日に関係部局職員による会議を開き、検査の結果、ピーファスが検出された場合を想定し、活性炭を備えることを決めた。活性炭は吸着性に優れ、水処理などの現場で有害物質の除去剤として使われることが多い。
町民には17日、経緯と対応を町ホームページやエリア放送のあびらチャンネルで説明した。田中一省副町長は「環境省の資料には、ピーファスの摂取が要因の健康被害発生事例はないが、調査を進め、原因を明らかにしたい」と話す。
町民からは不安や改善を求める声が上がっている。4月に町追分緑が丘に移住してきた女性会社員(30)は「日常的に水道水を飲んでいる。安平川からのピーファスの検出には驚いており、ラピダスの進出で水質検査をしていなかったら分からなかったと思うと怖い」と心境を話す。
町早来栄町の無職男性(76)は「生まれてからずっと町の水道水を飲んでいるが、こういったこと(発がん性のあるものが含まれること)は聞いたことがない」と受け止め「今のところ(体調は)何ともないが、問題があるなら管理者に原因を除去してほしい」と望んだ。