月経に伴う下腹部痛やイライラ―。適切な対処法は十分に知られておらず、つらさに耐えている女性は少なくない。専門医は「我慢せず受診してほしい」と呼び掛けている。

　月経時の女性の体は、不要になった子宮内膜を排出するため、プロスタグランジンというホルモンを分泌して子宮の筋肉を収縮させる。子宮収縮や、血管収縮による血行不良に伴う、下腹部や腰の痛みが月経痛だ。症状が日常生活に支障を来すほど強い場合は「月経困難症」と呼ばれ、胃痛や吐き気、下痢などが表れることもある。

　運動習慣、睡眠、休息、下腹部を温める、カフェインやアルコールを避ける―などのセルフケアがこうした症状を和らげると報告されている。

　セルフケアでは十分に症状が和らがない場合、子宮内膜症や子宮筋腫といった疾患が隠れていないかを調べるためにも「我慢せず、婦人科を受診してください」と国立成育医療研究センター（東京都世田谷区）女性総合診療センター婦人科の藤岡泉医師は話す。

　よく処方されるのが、プロスタグランジンの分泌を抑える鎮痛薬。痛くなる前や痛くなり始めの頃、すぐに服用し、プロスタグランジンが大量に分泌される前に効果が表れるようにするとよい。低用量ピルや漢方薬などが用いられる場合もある。

　月経前症候群（PMS）は、月経前3～10日の間にイライラ、落ち込み、むくみ、頭痛などが起きる。プロゲステロンというホルモンの分泌が大きく変動することなどが要因だと考えられている。

　月経痛対策と同様に生活を整えるセルフケアの他、気分転換したりリラックスしたりする時間の確保も効果が期待できる。症状がつらい場合は受診しよう。