政府は6日、経済財政諮問会議(議長・石破茂首相)を開き、経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」の原案を示した。日本経済は30年続いた「コストカット型経済」からの終わりを迎えつつあるとの基本認識を表明。その上で「賃上げこそが成長戦略の要」との考えの下で「物価上昇を安定的に上回る賃上げを実現する」と明記した。
石破政権として初めての骨太方針で、6月中旬の閣議決定を目指す。
財政健全化を巡っては、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化を目指す時期を「2025年度から26年度」と幅を持たせた。政府は18年以降、「25年度」の黒字化目標を掲げていたが、達成時期を事実上後退させた。
原案では、「減税より賃上げ」と強調し、「減税政策によって手取りを増やすのではなく、賃上げによって手取りが増えるようにする」と表明。「29年度までの5年間で、日本経済全体で年1%程度の実質賃金上昇」を定着させるという目標を設定した。
雇用の7割を占める中小企業の賃上げ原資を増やすため、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5カ年計画」を推進。官民で60兆円程度を生産性向上に投資するほか、飲食や宿泊など人手不足の深刻な12業種の個別支援も進める。20年代に最低賃金を全国平均1500円へ引き上げるために「たゆまぬ努力を継続する」と強調した。
政権の看板政策である防災庁は「26年度中」に設置。事前防災から災害時や復旧・復興の「司令塔」の役割を持たせ、専任の大臣を置き、他省庁への勧告権も付与するとした。
高騰するコメ価格の抑制では「政府備蓄米の流通の円滑化」を含めた総合的対応を進めると表記。食料安定供給に向けて「水田政策の見直しの具体化」も進める方針を示した。
新しい資本主義実現会議(議長・石破首相)も6日に開き、実行計画の改定案も提示。「国が賃上げと価格転嫁の先導役」を果たすとし、公共事業などの官公需での価格転嫁の徹底のほか、医療や介護などの公定価格の引き上げを検討する。