王者同士の一戦に懸ける中谷の決意が、荒々しい序盤戦に表れた。「ダメージを1ラウンド目から存分に与える気持ち。楽しんでいただけたかな」。余裕の口ぶりで試合を振り返った。
1回。左ストレートを打ち込み、ガードの間に右もねじ込む。1発、2発で終わらず、その後も自由自在にスリー、フォーと追撃のパンチ。両者へのコールが何度も会場内を揺らしたが、中谷の優勢は明らかだった。
バンタム級に階級を上げてから、これで5連続KO勝ち。破壊力抜群の拳で念願をかなえた。この階級は日本勢が世界主要4団体のベルトを獲得した激戦区。誰が最強かを示すべく、中谷は統一戦に「長い間、思いを持ち続けてきた」と言う。試合前、米ロサンゼルスで約1カ月合宿し、栄養士を連れて行くなど調整に細心の注意を払ってきた。
今年3月末にスーパーバンタム級世界主要4団体統一王者、井上尚弥から来年の対戦を持ち掛けられた。そのためにも価値ある白星。井上尚に向け、中谷は「もうすぐ行くので、待っていてください」。真の意味でボクシング界の主役を張る日も遠くない、と思わせる試合内容だった。