アイスホッケーの男女日本代表など、数多くの有力選手を輩出してきた釧路市貝塚の「大進スケートセンター」の営業が、6月をもって終了する。管理運営する大進スケートセンター(中島谷友一朗社長)が4月から、釧路市スポーツ振興財団と共同で春採アイスアリーナの指定管理者を務めており、同アリーナが開館する8月を前に機能を移行するため。市内で唯一、通年営業していたリンクが42年の歴史に幕を下ろすこととなり、中島谷社長は「いろいろな方々に利用していただき感謝しかない」と語った。
同リンクは1984年10月に竣工(しゅんこう)。現在、年中~中学生を対象にしているアイスホッケー教室「大進Jr(ジュニア)」の前身である「英進クラブ」に所属する子供たちの練習機会を確保しようと、中島谷社長の父である故久男さんが建設を決めた。
リンク完成によって練習時間が確実に確保できたこともあり、これまでジュニア卒の数多くの選手たちが日の丸を背負って戦ったり、トップリーガーとして活躍してきた。97年に発足した中高一般の女子チームで、昨季女子日本リーグと全日本選手権を制した「Daishin」のホームリンクでもあったほか、小中高大生、一般の練習場所や国内外チームの合宿先として利用されるなど、釧路以外の人にも長らく愛されてきた。
中島谷社長は、旧実業団のコクドや海外のナショナルチームが合宿していたことなどを懐かしむ。また、大進スケートセンターがオープンする前年の83年9月には春採アイスアリーナがオープンし、「リンクが増えたことで鳥取地区以外の競技人口が増えていったことは紛れもない事実」と振り返る。
最盛期に五つあった釧路市内の屋内リンクは、春採アイスアリーナ、釧路アイスアリーナ、KKS釧路厚生社アイスアリーナの3施設となる。競技人口の低下など年々アイスホッケーを取り巻く環境は厳しくなっているが、普及、振興への熱意は変わらない。「小さい頃親に競技をさせてもらい、リンクも造ってくれた。今も地域の子供たちを指導しながら、ずっとアイスホッケーに携わる仕事ができていて、親には感謝しかない。だからこそ、やめられないし、これからも続けていきたい」と今後も情熱を持って活動を続ける考え。
大進スケートセンターはリンクを解氷するだけで閉館ではなく、ウエート器具などは移さないため、今後も女子チームの筋力トレーニングは続ける予定。今後の活用法などは模索中としている。
新拠点となる春採アイスアリーナは、大進スケートセンターと築年数ではほとんど変わらないが、公式サイズのリンクでもあり、観客席も有している。「スケート教室や低学年の大会を開いたりと、観客席があるならではの取り組みをしていく。いろいろな要望を聞きながら、利用しやすいリンクにしていきたい」と力を込めた。
6月いっぱいで42年の歴史に幕を下ろす大進スケートセンター