19日に2025年3月期(24年度)決算を発表した株式会社苫東。売上高は前期比3・3倍の125億2400万円、純利益は1・6倍の11億2100万円、用地の分譲面積は3倍の209ヘクタール、分譲件数は1・6倍の16件と軒並み過去最高を記録した。記者会見した辻泰弘社長との主な一問一答を紹介する。 ―売上高、純利益、分譲件数、分譲面積いずれも過去最高だった。 「ソフトバンクのデータセンター(DC)立地と、北海道電力のカーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出ゼロ)の普及拡拡大に向けた大型案件の成約があり、これらで7割程度の実績となった」。 ―好調の要因は。 「苫東の持つ強みがアピールできた。一つは港があり、空港に近い交通要衝。二つ目は苫東の拡張可能性。広いため一つ拠点をつくると、すぐそばに土地を購入できるメリットがある。立地企業が買い増しをするパターンもあり、単に生産活動だけではなく、自分たちの敷地内に太陽光パネルを置き、クリーンなエネルギーを工場に供給する動きもある。三つ目は気象条件。非常に太陽光に適したエリア。CNやGX(グリーントランスフォーメーション)を進める中、クリーンなエネルギーを利活用するのに適したエリアと評価されて、これだけの規模感で土地が購入された」。 ―今後の取り組みは。 「しっかり投資しなければならない。ある程度必要な資金は確保できたこともあり、三つの柱を立てた。経済情勢など様子を見ながら、今後5カ年で100億円程度の投資を考えている。一つは分譲地の確保。私の考えでは約100ヘクタール。30年に来ると考えられるGX関連のピークに合わせたい。苫東は先行投資をしすぎて失敗した歴史もあるので、状況を見極めたい」 「二つ目は送水管、水の関係。工業用水は北海道企業局の仕事だが、汚水管や雨水管の整備は、苫東が整備する。老朽管の更新もあるし、増強もある。臨海部は上水を供給できるポンプ場の整備を含め、インフラを整備していく」 「三つ目は埠頭(ふとう)。(東港で)検討、調査を行っているが、今後は次の世代に対応するため、アンモニア船などいろんな船が入れるよう、整備を考えている」 ―苫東のGXの動きは。 「はっきりとした流れがあると感じる。一つ目は太陽光を生かした取り組み。企業がクリーンエネルギーを求めている。二つ目はGXの取り組み。臨海部は、石炭火力の北電苫東厚真発電所、サニックス、今秋にも運用開始になるだろう苫東バイオマス発電所とエネルギー源が並ぶ。最終的に石炭火発もアンモニア混焼で脱炭素化が期待される。三つ目はアンモニア、水素などの次世代型GX。政府が30年をターニングポイントとし、それに向かっていろんな動きが出てくる」 ―今年度以降の見通しは。 「少なくとも、今年度も好調。大型案件があった24年度のようにはならないが、23年度よりはいいだろうと。(23年度当時)過去最高益と言っていたが、それよりも恐らくはいい」 「造成は5年のスパンがあり、売り上げを5年周期でピークにしたい。30年のGXの大きな動きがある。(次世代半導体製造)ラピダスも量産化すれば波及効果があるが、まだ時間がかかるなら動きが止まる可能性もある。できる限り影響を受けないよう、GX、DX(デジタルトランスフォーメーション)、DCの誘致を続けたい」 「西港側の出光、トヨタ自動車北海道、石油資源開発などとも情報交換しながら、今後の次世代型GXの展開を踏まえ、分譲地を開発していかなければと思う。特に柏原エリアは脱炭素型の工業基地になるとアピールしていきたい」
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