釧路市動物園は(鈴木貴博園長)は19日、同園で生まれ育ち、後肢に障害を抱えながらも懸命に生きてきた絶滅危惧種のアムールトラ「ココア」(雌、17歳)が、18日午後7時24分に死んだと発表した。同園は猛獣舎内に献花台を設置し、後日お別れの会を開くことを検討している。釧路市民のみならず、全国のファンから感謝と悼む声が広がっている。
「ココア」は、2008年5月24日に釧路市動物園で生まれた3きょうだいのうちの1頭。仮死状態だったが、獣医師と飼育員の処置で、雄のもう1頭「タイガ」とともに蘇生した。2頭とも、生まれつき足に障害があったが、日ごとに大きくなる姿は時の話題となり「タイガとココア」の知名度は全国区となった。
09年8月25日にタイガが急死。ココアは数日間、タイガの姿を探したが、成獣となる過程で、トラが本来持ち合わせている独力で生きる強さを備えていき、同園の人気者として生き続けた。年を重ねて体が大きくなると、障害のある後足に負担が掛かることが懸念されたが、担当飼育員を中心に体重管理に注意を払い、成長を助けた。
ココアは同園の顔として抜群の存在感を発揮。今年も17歳の誕生日を約300人が祝った。人間の年齢で70代となったココアは近年、衰えが見え始めた。今年4月8日~同21日、体調不良で治療に専念するために展示を中止。回復して展示を再開したが、誕生会後の6月17日から再び治療に専念するため、展示を中止していた。
5月24日、誕生会で祝福を受けたばかりだった「ココア」