意識障害の一種である「せん妄」が、高齢者の認知症や死亡のリスク上昇に関係する可能性があると、オーストラリアの研究グループが発表した。
研究グループは、2009年1月~14年12月に入院治療を受けた認知症がない65歳以上の患者のデータを分析。(1)せん妄の経験がある人(2)年齢や性、虚弱(フレイル)の程度、入院期間などが(1)と一致するせん妄の経験がない人_各5万5211人を抽出し、認知症発症リスクなどを比較した。
5・25年の追跡期間中に6万3929人が死亡し、1万9117人が認知症を発症した。
分析の結果、(2)と比べ(1)では認知症発症リスクが3倍だった。認知症リスクは、男性が3・17倍で2・88倍の女性よりも高く、全体ではせん妄の回数が1回増えるごとにリスクは20%上昇した。また、(2)と比べ(1)では死亡リスクも39%高かった。
(メディカルトリビューン=時事)