地域の古い物事を調べる場合、図書館は欠かせない。目的の資料が見つからないことも時にあるが、代わりに意図せず面白い本を発見できる楽しみもある。
先日、郷土資料室で目に留まったのが「絵をみてつくれる―北国の手づくり食品」。北海道農業改良普及協会が1982年に出版した。この春、遊びの達人の先輩から釣った魚で漬けた自家製のいずしを頂き、うまさに感激したこともあって思わず手に取った。口絵にサケの薫製やいずし、漬け物。不意に待ち人に会ったようでうれしい。かす漬け、切り込み、ジャムなど二百数十種載っていた。
巻頭に「自家生産の新鮮でかつ良質の原料から生産された純粋の自然食品こそ理想的な食品…市販品のお手本」と監修者。昭和の本には、旬を知る農漁村家庭の豊かな食の工夫と知恵が満載だ。
漬け物は法改正で衛生基準が強化され6月から製造販売が許可制になる。設備投資が必要で、小さな会社や手作り品を売る農家などが影響を受けるという。他に方法はないのか。各地の直売所にある地物の漬け物類は減るかもしれない。
コラム子は釣りをする。本にあったカレイの塩辛や切り込みなら作れそうな気がする。食中毒対策で先輩の助言を頂きながら、トライしてみたくなった。(司)