白老町陣屋町の仙台藩白老元陣屋資料館(武永真館長)と町教育委員会は、同資料館が10月に迎える開館40周年の記念事業として、特別展「蝦夷地の陣屋」を7月28日から8月18日まで、同館で開催する。全道17カ所の陣屋跡の現状を2021年度から3年かけて調査した内容と成果を発表する。開幕日には道内の史跡保全関係者や北海道博物館の学芸員ら計14人を迎え、記念シンポジウムも開く。
同資料館は、国指定史跡「白老仙台藩陣屋跡」に関する資料を収蔵・展示する施設。同陣屋は幕府の命令で仙台藩が1856年に構築し、戊辰戦争が起きる68年までの間、約120人の藩士が入れ替わりで蝦夷地防衛に携わった。史跡が22年に北海道遺産に選定されたことで、同資料館への関心も高まっている。
特別展では、同資料館友の会(川西政幸会長)の会員らが全道17カ所の陣屋に出向き、関係者に取材して知り得た陣屋の来歴や現存する遺構などについて、写真や解説パネルで紹介する。調査の結果、完全に近い遺構を残し、資料館やボランティア組織もあることで、白老の陣屋は特徴付けられることを伝える。
また、調査を通じて縁ができた道南、道東、道北の博物館や郷土資料館20施設から、陣屋にちなむ絵図、文献、絵馬などを約60点借り受けて展示する。
武永館長は「道内と周辺地域を取り巻く幕末の北方警備史の魅力を知るきっかけにしてほしい」と話す。
シンポジウムには十勝管内広尾町、釧路管内厚岸町、根室市、稚内市、留萌管内増毛町、石狩市、函館市など13自治体から学芸員を一人ずつ招き、「陣屋跡の保存と各地域の連携」をテーマにディスカッションをする。北海道博物館の三浦泰之学芸員の基調講演も企画している。
このほか、8月3、10、17日は午後1時から1時間程度、武永館長のギャラリートークを実施。かぶと、よろいの試着や乗馬を体験できる「陣屋の日イベント」も同10日午前10時~午後2時に開く。
武永館長は記念事業を通じ「白老仙台藩陣屋跡の北海道遺産としての認知度を向上させたい」と語る。同資料館友の会の館内ガイドの資質向上や人材養成にもつなげたい考えだ。