東日本大震災から13年を迎えた11日、岩手、宮城、福島3県で追悼式が行われ、地震発生時刻の午後2時46分に黙とうがささげられた。参列者らは、元日に地震が起きた石川県能登半島の人々にも思いをはせ、経験や教訓継承の大切さを再確認した。岸田文雄首相は、政府主催の追悼式が終了した2022年から3年連続で福島県主催の式典に参列し、献花した。
福島市で営まれた追悼復興祈念式には約360人が参列。内堀雅雄県知事は「復興は今後も長く険しい道のりが続くが、挑戦を続けていくことで必ず道は開ける。私たちは負けない」と力を込めた。祖父母と両親を津波で亡くした浪江町出身の鍋島悠輔さん(20)は、遺族を代表し「黒く巨大な津波の恐ろしさは今も心に強く残っている。震災の教訓を決して忘れないようにしなければならない」と訴えた。
岸田首相は政府代表のあいさつで「地震・津波被災地域の復興は着実に進展している」と強調。その上で「大きな犠牲の上に得られた教訓を風化させることなく、能登半島地震をはじめとする自然災害への対応に生かし、災害に強い国づくりを進めていく」と述べた。
津波被害を受けた岩手県釜石市鵜住居町の「釜石祈りのパーク」では、市主催で追悼式が実施され、約150人が参列した。津波で母を亡くし、姉がいまだ行方不明の佐々木智之さん(41)は、「被災地では震災を知っている世代から知らない世代への伝承が進みつつある。災害を語り継ぐことに経験は関係なく、未来を願う思いが防災、減災につながる」と語った。
関連死を含む約3800人が犠牲となった宮城県石巻市主催の追悼式には、遺族ら約70人が参列。「震災時を思い出してしまう」という遺族に配慮し、防災行政無線からの追悼のサイレンは、例年より低音で流された。
斎藤正美市長は式辞で能登半島地震について触れ「本市も震災時、多くの自治体に支援をもらった。被災自治体と連絡を取り合い、最大限の支援を行っていく」と話した。