2023年の白老町内の自殺者数は、当年を含む過去15年間で最も少ないゼロ人となった。町健康福祉課では「昨年の自殺者こそいなかったが、深刻な状況に変わりはない」と捉えており、厚生労働省の定める自殺対策強化月間(3月)に合わせ、保健師による電話・面談相談などを実施している。
白老町の集計では、この15年間の自殺者は49人。最も多かったのは10、11、17年の6人で、直近の22年は3人だった。年代別では70代が14人と最も多く、60代の8人、80代以上の7人が続き、高齢者の割合が高い。50代と30代は各6人、20代は5人、40代は3人。20歳未満はゼロ人だった。
原因や動機は、健康問題が19人と最も多く、家庭問題が9人、経済・生活問題が8人(重複あり)で、不詳は11人となっている。
町は庁内の複数課で「町いのちを守るネットワーク庁内連絡会議」を組織し、民間団体による「町地域見守りネットワーク会議」などと連携して自殺を防ぐ包括的体制を構築。「心配な人がいる」という住民の気付きを専門機関につなげ、情報を関係機関で迅速に共有している。
それでも孤独感を抱えた人の苦悩は深刻で、厚労省も「自殺は生活苦や職場の人間関係など多様で複合的な要因の連鎖で起きている」としている。町では今月、保健師による電話・面接相談を平日午前9時~午後4時に庁内で実施しているほか、悩みの内容に応じて相談窓口を紹介することにも取り組んでいる。
同課の担当者は「役場庁舎や関係機関の連携を密にし、これまで以上の取り組みを進めていく。不安な時がある人、心配な人を知っている人は、まず相談を」と呼び掛けている。
問い合わせは町健康福祉課健康推進グループ 電話0144(82)5541。