衆院政治倫理審査会は1日、自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件を受け、同派幹部を務めた4人に対する審査を順に実施した。同派はパーティー券収入の還流(キックバック)廃止を2022年4月にいったん決めたが、その後に再開。この経緯に関し、座長だった塩谷立・元総務会長、元事務総長の西村康稔前経済産業相は具体的な説明を避けた。
政倫審には事務総長経験者の松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長も出席した。
塩谷、西村両氏は、22年4月に当時会長だった安倍晋三元首相、下村博文元政調会長、世耕弘成前参院幹事長と共に、会計責任者の同派事務局長と協議したと明かした。安倍氏が「現金による還付(還流)は不透明で疑義を生じさせかねない」と主張し、還流の廃止を決めたと説明した。
同7月に死去した安倍氏を除く同じメンバーが翌8月に協議。西村氏はこの場で再開するとの結論は出なかったと明らかにした。塩谷氏は、還流の是非を検討したのはこの協議1度だと説明しつつ「8月に協議して以降、具体的に(再開を)決めたことはない」と主張した。
最終的に再開した経緯について、西村氏は「全く承知していない」と強調。塩谷氏は「困っている人がいるので仕方がないというくらいの話し合いの中で継続になったと理解している」と述べるにとどめた。
同派の還流・不記載の慣習について、塩谷氏は「二十数年前から始まったのではないかと思うが、明確な経緯は承知していない」と発言。「事務的に慣例で引き継がれてきた」と語った。
派閥会長だった森喜朗元首相について、西村氏は「関与していたという話は聞いたことがない」と強調した。
還流再開に関し、当時官房長官だった松野氏と22年8月下旬に事務総長に就いた高木氏は「検討の場に出席したことはない」などと関与を否定した。高木氏は、23年のパーティーに関して22年末ごろに塩谷、下村、世耕氏と協議し、還流をやめる方針を確認したことを明らかにした。
4人は「歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に扱ってきた」(西村氏)などと還流や政治資金収支報告書の不記載への関与をそろって否定。それぞれ陳謝した。