小泉龍司法相は13日の記者会見で、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人を支援する成年後見制度の見直しに向けた民法改正を、15日に開く法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると発表した。使いやすい制度とするため、後見人を柔軟に交代することや、利用期間を必要性に応じて決めることを可能にする仕組みを検討する。
成年後見は、判断能力が不十分な人に代わり、選任された弁護士ら後見人が財産管理や契約などを行う制度。一般的に後見開始後は本人が亡くなるまで利用が続き、一度選んだ後見人は原則として解任できない。関係者から「使い勝手が悪い」と指摘されていたことから、政府は2022年3月に決定した成年後見制度利用促進基本計画で、26年度までに見直しを検討する方針を示していた。
法制審では、遺産分割が終わるなど後見の必要性がなくなれば利用を終了させる仕組みなどを話し合う。後見人については、ニーズに応じて社会福祉士などの専門家に交代可能とする案を検討する。
法相はまた、遺言者本人の手書きが義務付けられている「自筆証書遺言」について、パソコンなどで作成可能とする民法改正も法制審に諮問する。
現行法は、遺言の内容が真意に基づくことを示すため、本人が全文と日付、氏名を手書きして押印することを定めている。作成負担の大きさが指摘されていることから、デジタル機器の利用や電子署名を可能とする見直しを検討する。