ジャーナリストの伊藤詩織さん(34)が、自身を中傷するツイッター(現X)の投稿に「いいね」を押され、名誉感情を傷つけられたとして、自民党の杉田水脈衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟について、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)は8日付で、上告を退ける決定をした。杉田氏に55万円の賠償を命じた二審東京高裁判決が確定した。
伊藤さんを巡っては、元TBS男性記者から性被害を受けたと認め、同記者に賠償を命じた判決が確定している。 一、二審判決によると、杉田氏は、伊藤さんについて「売名行為」などと批判する25件の投稿に対し、「いいね」を押した。
一審東京地裁は、「いいね」は好意的な感情を示すだけでなく備忘目的などでも用いられるとし、「非常に抽象的な表現だ」と指摘。杉田氏の行為は「執拗(しつよう)に繰り返されたとまでは言えず、違法ではない」として請求を棄却した。
これに対し高裁は、杉田氏はテレビ番組などで伊藤さんを非難しており、名誉感情を害する意図で「いいね」を押したと判断。国会議員としての影響力も考慮し、一審を変更して賠償を命じた。