衆院予算委員会は5日、岸田文雄首相と全閣僚が出席して2024年度予算案の基本的質疑を行い、実質審議に入った。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた政治改革に関し、首相は「今国会で政治資金規正法をはじめとする法改正を実現していく」と表明。政策活動費の使途公開には否定的な見解を示した。立憲民主党の岡田克也幹事長への答弁。
岡田氏は、清和政策研究会(現安倍派)で過去に会長を務めた森喜朗元首相を、裏金事件に関する自民の聞き取り調査の対象とするよう要求。首相は「聞き取りを進める中で判断していく」と明言を避けた。関与した議員の政治倫理審査会への出席についても「国会関係者を中心に判断していきたい」と述べるにとどめた。
政党から議員に支給される政策活動費の使途公開について、首相は「わが党の活動と関わりのある個人のプライバシー、企業・団体の営業秘密を侵害する」と指摘。公明党の高木陽介政調会長が、会計責任者だけでなく政治家本人の責任も問う「連座制」導入について尋ねたのに対しては、「対象とする政治団体の範囲、違反の種類など、丁寧な議論が必要だ」と強調した。
首相は、北朝鮮による日本人拉致問題について「被害者の帰国に向け、強い覚悟を決めている」と重ねて表明。金正恩朝鮮労働党総書記が能登半島地震への見舞いの電報を送ったことを受け、「相手側の対応を分析しつつ、的確な対応を行っていく必要がある」と述べた。自民の加藤勝信前厚生労働相への答弁。
立憲の梅谷守氏は、能登半島地震を受けた「自粛ムード」への対応を求めた。首相は「被災地の地元産品消費や観光を盛り上げ、復興・復旧を応援する取り組みを後押ししていく」と応じた。
自民の麻生太郎副総裁が上川陽子外相を「おばさん」などと呼んだ発言について、首相は「年齢や容姿についてやゆすることはあってはならない」と強調した。立憲の石川香織氏への答弁。
衆院予算委は、裏金事件を受けた与野党協議などの影響で、開会が約1時間遅れた。