自民党は5日、派閥の政治資金パーティー収入裏金事件に関し、キックバック(還流)の政治資金収支報告書への不記載が判明した党所属国会議員82人のリストを野党に提示した。党所属議員全員を対象としたアンケートも同日開始。先週始めた聞き取り調査と合わせた結果を週明けにも野党に説明する方針だ。
自民は実態解明に前向きな姿勢をアピールし、国民の信頼回復につなげたい考え。岸田文雄首相(党総裁)は5日の衆院予算委員会で、アンケートについて「来週早々に取りまとめる」と説明。聞き取りも週内に終え、第三者による報告書作成に移行したいとした上で、「党として必要な説明責任を果たす」と語った。
自民が示したリストは安倍派と二階派の2派閥分。両派が1月に届け出た2020~22年の報告書の訂正に基づき、キックバックや中抜きがあった政治団体名、金額、議員名を列記した。安倍派は有力議員「5人衆」をはじめ76人、二階派は二階俊博元幹事長ら6人の氏名が記された。細田博之前衆院議長ら安倍派15人、二階派1人は現職でないとの理由で氏名を伏せ、政治団体名と金額を記すにとどめた。
聞き取りは、安倍、二階両派議員や岸田派の根本匠事務総長が対象。アンケートはこれでは不十分だとする野党の求めに応じたもので、無派閥を含む全議員に質問票を送付した。派閥パーティーに関する収入の不記載があったかどうかを尋ね、過去5年間の不記載額を明記するよう求める内容で、8日に回収する。
自民の浜田靖一国対委員長は5日、立憲民主党の安住淳国対委員長と国会内で会談し、追加の調査結果について「遅くとも来週初めに提出したい」と説明。14日をめどに衆院予算委集中審議に応じる考えも示し、24年度予算案の5日の実質審議入りに理解を求めた。
野党4党は国対委員長会談で審議に応じることで一致し、5日の衆院予算委は約1時間遅れで始まった。安住氏は記者団に「5年分(のリスト)を要求していたが、3年分しかなく不誠実だ。極めて不満だが、半歩前進と判断する」と語った。