衆参両院予算委員会は29日、岸田文雄首相と関係閣僚が出席し、「政治とカネ」の問題に関する集中審議をそれぞれ行った。首相は自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた政治資金規正法改正に関し、会計責任者だけでなく議員本人の責任も問う「連座制」の導入に前向きな意向を表明。事件を受けた当事者の政治責任を党として検討する考えを示した。
自民党の丹羽秀樹氏らの質問に答えた。党幹部に対し、関係者への事情聴取を行うよう指示したことも明らかにした。 首相は衆院予算委の冒頭、事件について「自民党総裁として心よりおわびする」と陳謝。「政治資金規正法改正など必要な法整備を進めていく」と述べた。
その上で「連座制も含めて各党とも議論を行っていきたい」と明言。政策活動費について「国会で法改正も含め真摯(しんし)に議論したい」と語った。
首相は「今回の問題はコンプライアンス(法令順守)の欠如が最も大きな原因だ。実態把握に努め、整理をした形で国民に示していかなければならない」と明言。「政治責任について党として対応を考える」と述べた。自民の磯崎仁彦氏への答弁。
事情聴取に関しては、実態解明に向けて外部有識者を加える意向を示した。これまでに安倍派で30人以上、二階派で7人が政治資金収支報告書を訂正したことも明らかにした。立憲民主党の大西健介氏への答弁。
共産党の山添拓氏は、2019年と22年に安倍派が改選を迎える参院議員に、パーティー券販売で集めた資金の全額をキックバック(還流)していた疑いがあると追及。首相は「実態解明が重要だと強く感じている」と述べるにとどめた。
規正法改正に関しては、「議員立法で行われるべきものだ。与野党による議論の場が設けられた場合、党として積極的に貢献したい」と語った。公明党の谷合正明氏の質問に答えた。
立憲の熊谷裕人氏らは、事件の実態解明に向け、安倍、二階両派幹部らの証人喚問や参考人招致を主張した。
首相の施政方針演説など政府4演説は国会召集日に行うのが通例。しかし、今回は野党の要求で集中審議の開催を優先し、4演説は30日にずれ込む異例の日程となった。