自民党は23日、政治刷新本部(本部長・岸田文雄首相)の会合を党本部で開き、派閥の政治資金規正法違反事件を受けた政治改革の中間取りまとめ案を了承した。焦点の派閥については、全廃に踏み込まず「(カネや人事の)イメージが染みつく派閥から脱却し、本来の政策集団に生まれ変わらねばならない」と強調。派閥による政治資金パーティーの全面禁止などを打ち出した。
改革案は冒頭で事件に触れ、「党として真摯(しんし)に反省し、国民に深くおわびする」と謝罪。安倍派幹部らの立件が見送られたことを念頭に「あるべき政治責任について結論を得る」と党則に基づく処分を検討する姿勢を示した。
派閥の在り方に関しては「カギはお金と人事から完全に決別することだ」と指摘。パーティー開催の禁止に加え、夏と冬に活動資金として議員に配る「氷代」と「餅代」の廃止を明記した。事務所閉鎖を前提に「活動を党本部等で行う」よう要請。閣僚人事などで推薦名簿提出などの働き掛けを行わないと党のガバナンスコード(統治指針)に記し、順守状況を注視するとした。
派閥の法令違反が判明した場合、党として審査し、活動休止や解散を求める方針を盛り込んだ。ただ、寄付などの受け皿となる政治団体の解散は求めず、人事関与などルール違反への罰則もなく、実効性は不透明だ。
一方、政治資金の透明化に向けた取り組みとして、派閥の政治資金収支報告書について、提出時の外部監査を義務付けた。政治資金の銀行振り込みや、収支報告書のオンライン提出を進める考えも示した。
さらに、会計責任者が逮捕・起訴された議員を処分できるよう、党則を改正する方針を盛り込んだ。
26日召集の通常国会で焦点となる規正法改正を巡っては、与野党協議を視野に「法整備を速やかに行う」とした。これに関し、自民党は(1)パーティー券購入者の公開範囲を拡大(2)議員の責任を問いやすくする連座制などを導入―する方向で調整している。
首相は会合後、党本部で記者団に「派閥ありきの自民党から完全に脱却する。いわゆる派閥を解消する」と表明。「党再生に向けての第一歩だ。私自身が先頭に立って実行する」と語った。