安平町の住民基本台帳に基づく2023年12月末の人口は、前年同期比3人減の7311人で、ほぼ横ばいを維持した。同年1~12月の転入者の数が転出者を91人上回る大幅な「社会増」となったのが要因で、旧早来、追分両町が06年に合併して以降、91人は最多。町は「子育て・教育環境の整備が実を結んできている」とみている。
町によると、18年9月の胆振東部地震で大きな被害を受け、社会減は同年から100人前後で推移し、全体の人口減も200人を超える年があった。しかし、22年に転入者が転出者を15人上回る「社会増」に転じ、23年は転入者462人に対し、転出者・その他が371人。19~22年は400人を超えていた転出者が300人台に収まった。
町政策推進課は「検証は必要だが、震災から5年で復興が進み町全体が落ち着いてきたことと、子育てや教育の環境が整備されてきたことで転出の抑制につながったのでは」と推測する。
教育環境では、道内外で注目されるこども園や23年春に早来地区に開校した小中一貫の義務教育学校「早来学園」、子どもの発達段階などに合わせて展開する社会教育事業「あびら教育プラン」など、町独自の取り組みに関心が寄せられているとみられ、20~40代の転入者が多かった。
町ではさらに、教育を柱にしたまちづくりを掲げ、子育て世代をターゲットにした移住定住施策を展開。昨年末に行われたオンライン移住ツアーには道外の子育て世代8組11人が参加し、今月20日に早来地区で行われる移住体験ツアーも3組6人(11日時点)の申し込みを受けている。
町は民間賃貸共同住宅の建設支援を継続するほか、「包括連携協定を結ぶ不動産業の常口アトム(札幌市)の協力を得ながら空き地、空き家の調査、洗い出しを行い、住まいの確保につなげていきたい」と意欲を示している。