声と言葉と

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  • 2024年1月6日
声と言葉と

  テレビの視聴時間が長い。地震と事故のせいだ。今朝も起きてスイッチを入れるともう5時26分に能登半島で地震。

   元日夕方に発生した令和6年能登半島地震から丸5日。死者数が100人になった。1995年以降の20年間の大地震による死者数・関連死者数を理科年表で見ると、最多は2011年3月11日、東日本大震災の1万9759人。次が1995年1月17日、阪神・淡路大震災の6434人。能都半島地震はもう、2018年の胆振東部地震を抜いて3番手だ。

   いろいろな声が耳に残る。昨夜のテレビで商業者が被害を説明した後、地震で移動した自販機の飲み物を記者に何度もすすめていた。落ち着きに驚いた。彼らがこれから復興を目指す。支えたい。

   2日、羽田空港で海上保安庁の飛行機と激突した日航機の機内からは「早くここから出してください」と冷静に依頼する子どもの声が聞こえた。この声が乗客乗員379人の短時間の奇跡的な避難を支えたと思う。大人の悲鳴ではない。

   テレビの女性キャスターが「今すぐ避難してください」「引き返さないでください」と繰り返した大きな声も耳に残っている。賛否はあるが、あの声でわが家は貴重品をまとめた。妙な抑揚の人工知能(AI)音声よりも心に届く。(水)

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