9月2、3両日、苫小牧港・西港北埠頭(ふとう)キラキラ公園で音楽やアート、食をテーマにした複合型イベント「TOMAKOMAI MIRAI FEST(トマコマイミライフェスト)2023」(苫小牧観光協会主催)が開かれた。会場には燃料電池車がお目見えし、音楽ライブの電源確保やVIP(高額チケット購入者)に振る舞う料理の加熱などに水素が使用された。
その取り組みは「地域共創GXプログラム」と命名され、プロデューサーにはギタリストのSUGIZOさんが就任。9月3日にトークセッションがあり、市長らと7人で水素の可能性を話し合った。SUGIZOさんによると、水素を活用したコンサートは、環境に負荷をかけない活動を追求する中で生まれた副産物。間近で発電された電力を使用することで、音質がクリアになったという。水素こんろで作った料理は二酸化炭素を出さずに調理でき、グリルとスチームが同時に行われるため食材の外はカリカリ、中はジューシーなみずみずしい食感。水素調理したホッキ貝を口にすると、「本当においしい」と感動していた。
一方、トークセッションでは水素を使う燃料電池車の販売価格は高く燃料として供給する水素ステーションも普及していない現状が紹介された。SUGIZOさんは「今はまだルールがない。でも未来に対して新しいスタンダードが生まれようとしている」と強調。「未来を創るのは僕ら。そのバトンを次の世代の子どもたちに渡したい」と願った。
水素を生かした最新技術による気候変動など地球環境への対応、新たな市場の創出などが期待される。コストや技術面で課題は残るが今後、関係者の努力や技術革新によって造られる製品が、現行のガソリン車や家電製品並みの価格になれば普及が一気に加速し、水素社会が実現するかもしれない。
(室谷実)