自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を議員側に還流させ裏金化していたとされる事件で、キックバックを受けた議員が東京地検特捜部の任意の事情聴取に、「政治資金収支報告書に記載する必要があると知っていた」という趣旨の供述をしていることが20日、関係者への取材で新たに分かった。
特捜部は19日、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)容疑で安倍派の事務所などを捜索。押収した資料を分析するとともに、引き続き議員本人への聴取も行い、認識や資金の使途などについて調べを進めるとみられる。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職などによってノルマが設けられ、超過分は議員側にキックバックする運用が行われてきた。ノルマ超過分は派閥や議員側の収支報告書に記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
大半の議員側が裏金としてキックバックを受けたとみられ、同派全体では収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2022年までの5年間で、計約5億円に上る可能性がある。
キックバックを受けていた議員は任意聴取に、「収支報告書に記載しなければいけないと思っていた」などと説明。会計責任者も同趣旨の供述をしているという。
同派の複数の秘書らも議員側へのキックバックや収支報告書の不記載を認め、「派閥側の指示で記載しなかった」「収支報告書への記載義務がない政策活動費なので記載の必要はないと言われた」などと説明しているという。
特捜部は、「志帥会」(二階派)もパーティー収入の一部を収支報告書に記載していなかった疑いがあるとして事務所を捜索した。不記載額は5年間で1億円を超えるとみられている。