育児・子育て中の白老町職員11人でつくる「出生率5・0プロジェクトチーム(PT)」が、町の人口減少対策を検討し、提言書にまとめた。保護者でもある職員たちは、2024年度から着手すべきものとして、産後1年未満の母子を対象とした宿泊型ケア・サポートや小中学校の給食費の無償化など14事業を提案。「対策は待ったなし。早急に予防的施策を講じる必要がある」と訴えている。
チームメンバーは、座長の町健康福祉課の本間恵実子主幹(49)と、政策推進課、生涯学習課、子育て支援課、建設課などのほか、町立病院など部局の垣根を越えた計10課の職員。乳幼児から大学生までの保護者でもある30~40代だ。
24年度から開始すべきとした事業には、産後1年未満の母子に助産院に宿泊してもらい心身のケアや支援などをする「宿泊型の産後ケア事業」、16~18歳の医療費助成や小中学校の給食費助成をする「子育て環境の無償化」、町内の子どもにキャンプ場などの年間パスポートを配布し、施設を無料で利用できるようにする「町内施設年間パス配布事業」、若年・子育て世帯を対象とした「マイホーム新築・リフォーム費用助成事業」などを挙げた。
22年度の同町の出生数は過去最少の34人で、出生率(人口1000人当たりの出生数)は2・2%と少子化は深刻。PTはこの状況を踏まえ、出生率を早急に5・0%に引き上げたいと、目標実現年度を22年度から5年後の27年度に設定している。
提案事業は「町の現状と課題」を示す文や、対策の核となるビジョンの図示とともに提言書にまとめ、15日に町に提出した。本間座長は「子育てをしながら町に暮らす者として、先進地に学んだり、生活の中で実感する思いや考え方に耳を傾けたりしてまとめた」と語った。受けた大塩英男町長は「予算に関わる案件もあり、全て来年度に実現できるか検討が必要だが、子育て支援は公約であり、実現に向けて力を注ぐ」と述べた。
PTは「子どもはまちの宝」を公約に掲げて当選した大塩町長の指示を受けて8月21日に発足。今月までに4度の会合を重ねた。この間、プレゼンテーションを行って提案事業を精査したり、町内の幼稚園・保育園~高校に通う子どもがいる各世帯にアンケートを実施(10月)したりし、課題把握と具体的な支援の在り方を模索した。
対策事業を提言で終わらせないため、今後は役場組織だけでなく、官民が一体となったネットワークをつくり、白老町独自の少子化対策を打ち出して取り組むことを展望している。