安平町内に移住して起業を目指す人を発掘する「Fanfare(ファンファーレ)あびら起業家カレッジ」の最終プレゼンテーションが17日、小中一貫の義務教育学校「早来学園」で開かれた。町外から応募した2人が最終プレゼンに臨み、農産物の運送や移動式スナックの運営、AR(拡張現実)を駆使し、何度も町に足を運んでもらう仕掛けづくりといったそれぞれの思い描く構想を語った。
新しい働き方や起業、事業創出にチャレンジする人材を掘り起こす町の移住施策の一環。町に移住して起業を検討する挑戦者を募り、11月中旬に町内で企業経営者や地元金融機関、商工会の担当者と意見交換を行った上でブラッシュアップを重ね、この日に臨んだ。
札幌市在住の松田綾子さん(50)は、農家を支援する取り組みとして、生産した農産物を道の駅などに運送、品出しを請け負う業務を検討。さらにワゴン車をスナックに改修して高齢者施設などに出向いて営業するユニークな構想を打ち出し、「お年寄りが若い頃を思い出し、楽しいひとときを過ごせるようにしたい。あらゆるコミュニケーションを通じて笑顔になれる空間をつくりたい」と展望を述べた。
同じく札幌市在住の高橋颯さん(30)は、「まちづくりをITを使ってできないか」と提案。AR(拡張現実)によるフォトスポットの開設や絵本の開発、観光ミュージアムの新設などを通じて「観光人口を増やすためのモデルケースをつくり、他の地域にも展開していく」とイメージを語った。
及川秀一郎町長は、松田さんのプレゼンについて「人とのつながり、コミュニケーションがお年寄りの認知症予防にもなるし、ニーズの調査もしてきたということで施設とうまく連携できれば―と思って聞いていた」と講評。高橋さんには「道の駅の外側の部分を含めて非常に期待大と思う提案」とコメントを寄せた。
町によると、年内にも合否を決定し、来年4月に地域おこし協力隊として採用する予定。