自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を議員側に還流させ裏金化していたとされる問題で、所属議員の秘書らが東京地検特捜部の任意の事情聴取に、「派閥の指示で還流分を政治資金収支報告書に記載しなかった」と説明していることが13日、関係者への取材で分かった。特捜部は近く、同派側を強制捜査する方針を固めたもようだ。
岸田文雄首相が会長を務めていた「宏池政策研究会」(岸田派)もパーティー収入の一部を収支報告書に記載していなかった疑いがあり、金額は昨年までの5年間で計数千万円だったとみられることも新たに判明した。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職などによってノルマが設けられ、超過分は議員側にキックバックする運用が行われてきた。ノルマ超過分は派閥や議員側の収支報告書に支出、収入として記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
特捜部はこれまで議員秘書や会計責任者らから任意聴取。秘書らは「キックバック分を収支報告書に記載しないよう派閥から指示を受けた」などと説明しているという。
安倍派の大半の議員側が裏金としてキックバックを受けていたとされ、収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2018~22年の5年間の総額は5億円規模に上る可能性がある。
一方、岸田派もパーティー収入について5年間で計数千万円を記載していなかった疑いがある。ただ、安倍派とは異なり、ノルマ超過分のキックバックとは無関係とみられる。