東京都八王子市でのこども研修事業、同市の伝統芸能「車人形」の苫小牧公演、桑都(そうと)と呼ばれた歴史に触れるカイコの繭を使ったワークショップ(WS)、八王子千人同心の取材―。今年は八王子尽くしの1年。個人的には驚きと懐かしさ、新鮮さが込み上げた1年だった。
12年前、18歳だった私は大学入学と同時に大阪から上京。何を隠そう、その地が八王子市だった。その頃はまだ同市の歴史には無関心で八王子千人同心はもちろん、苫小牧市との姉妹都市関係など知る由もなく苫小牧に移住して初めて両市のつながりの深さを知ることとなった。
1800年、北方警備と開拓のため八王子千人同心が勇払に移住したことを縁に1973年に姉妹都市の盟約を締結。今年が50年の節目だったことからさまざまな事業が行われ、その多くに携わった。
こども研修事業では、苫小牧の小中学生と八王子市を訪問。駅前の変わらない街並みを懐かしみながら38度を超す猛暑の中、八王子千人同心の原胤敦、新介の墓や昨秋稼働したクリーンセンターを訪れ、市民1人1日当たりのごみ排出量が全国の人口50万人以上の都市で最少であることや絹織物、養蚕業で栄えた歴史などを学んだ。
カイコの繭を使ったWSでは、取材しながら糸取りを体験。高級品だとは認識していたが実際に手にした糸の丈夫さと光沢感に驚いた。11月には初めて車人形を鑑賞し、人形の躍動感ある動きに高い技術力を垣間見た。
苫小牧市民会館前にある勇払千人同心像(八王子千人同心の河西祐助と妻梅がモデル)も改めて取材。八王子市を通して、地域を学ぶ重要さや大切さを教えられた。苫小牧歴3年で、まだ知らないことが山ほど。今後も好奇心を胸に勉強を重ね、地域資源を掘り起こし、伝えていきたい。(樋口葵)
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2023年も残りわずか。記者たちが今年、印象に残った出来事などを振り返る。