自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を議員側に還流させ裏金にしていたとされる問題で、同派の複数議員側が数千万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかった疑いがあることが10日、関係者への取材で分かった。裏金の総額は、安倍派全体で数億円規模に膨らむ可能性がある。
東京地検特捜部もこうした資金の流れを把握。今後、議員本人への任意の事情聴取も視野に実態解明を進めるとみられる。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職などによってノルマが設定され、超過分は議員側にキックバックする運用が行われてきたという。ノルマ超過分は派閥や議員側の収支報告書に支出、収入として記載せず裏金化していたとされる。
昨年までの5年間で、同派幹部の松野博一官房長官、塩谷立元文部科学相、高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長、萩生田光一党政調会長、西村康稔経済産業相側が1000万円超~約100万円のキックバックを受け、他に数千万円が還流していた議員も複数いるとみられる。
いずれも収支報告書に記載していなかった疑いがあり、5年間の総額は安倍派全体で数億円に上る可能性がある。
政治資金規正法は、収支報告書の不記載・虚偽記載に5年以下の禁錮または100万円以下の罰金を定めている。