―地域のアイスホッケーを取り巻く環境と指導経験について。
「少子化を背景に小学校のチーム数が減少した。以前は各学校にリンクを造って練習する環境が当たり前だったが、温暖化などの影響で徐々になくなり『苫小牧のアイスホッケーに特化した環境』が縮小してきていると感じている。選手を引退してから、王子ジュニアの指導を続けていて、小中高生の指導に携わった経験もある。そうしたバックボーンが王子製紙の監督になった時、トップチームであろうと小学校であろうと、自分が情熱を持って選手と向き合えば大丈夫なんだということを学んだ」
―城野塾(アイスホッケースクール)を始めたきっかけ。
「2022年、アイスホッケーに携わる子供たちに、もっと競技を楽しんでもらおうと普及に目を向け、最初は札幌で開催した。子供たちは純粋に楽しそうに取り組むので、それを継続していくためにも目線を合わせつつ、触れ合うことを意識している。おかげさまでリーグ戦の札幌開催時に参加者が会場へ足を運んでくれるようになったし、よく声を掛けられるようになった。スクールではスーパープレーやゴール決めるために必要な土台、勝って楽しい思いをするために基本が必要だという話をして取り組んでもらっている」
―大人向けの城野塾について。
「子供たちの練習を見ている保護者に、どれほど大変なことをしてるのかを楽しみながら知ってもらう目的で始めた。初心者にも防具を貸し出し、子供たちと同じ目線で氷に立ってもらう。保護者が理解を示し、その子供たちが親になった時『アイスホッケーって面白い』というのをさらにその子供たちに伝えていくサイクルができてほしい。少しでも競技人口を増やしていくようなこうした取り組みが、今われわれが進んでいく道なのかなと思っている」
―REリーグについて。
「今年からイーグルスの前座、後座試合のような感覚で、札幌と苫小牧の交流戦のようなリーグを1シーズンかけてスタートした。チームの試合はもちろん大事だが、イーグルスの試合を見てプレーを学んだり、選手への憧れのような流れをつくりたかった。実際、イーグルスの試合を見る子供たちの人数や回数も増えてきているんじゃないかなと思う」
―今後のビジョンを。
「全国高校選抜大会期間中、道外の希望チームに指導もした。そうした形で、なかなか携わることのできない地域の人たちと触れ合える時間がつくれたらいいと思う。イーグルスの本拠地、苫小牧と他地域の子供たちがそれぞれの地域文化を持って交流し、触れ合い、成長できるような場を提供していきたい」
▽プロフィル
1970年12月27日生まれ、釧路市出身。89年から王子製紙アイスホッケー部で14年間プレー。2006年から3年間、監督を務めたほか、ジュニアクラブチーム「王子ジュニア」も指導。市内小中高校の外部コーチの経験もあり。現在はチーフマネジャーとして試合運営などに当たりながら、年代やレベル分けをして楽しむホッケーを伝える城野塾も定期的に開催している。