自民党派閥の政治資金パーティー収入裏金化疑惑の浮上を受け、岸田文雄首相(党総裁)は6日、麻生太郎副総裁ら幹部を党本部に集め、各派によるパーティーを当面自粛することを申し合わせた。再発防止策を打ち出すまでの暫定的な措置とし、派閥の忘年会と新年会も控える。
会合には正副総裁と党四役、参院執行部2人の計8人が出席した。このうち首相と麻生氏、茂木敏充幹事長、森山裕総務会長が派閥領袖(りょうしゅう)で、萩生田光一政調会長と世耕弘成参院幹事長は渦中の安倍派の中心メンバー。
首相は「国民から党全体に厳しい目が向けられている。強い危機感を持たなければならない」と強調。パーティーなどの自粛を各派に求める意向を示し、了承された。捜査などを通じて問題点が一定程度明らかになった段階で再発防止策を講じることも確認した。
会合後、茂木氏は党本部で記者会見し、パーティー自粛について「根本的な解決と思っていない」と明言。再発防止に力点を置く意向を示し、「透明性を高めることは極めて重要だ」と述べた。
政治資金規正法改正については「あらゆる対策を排除しない」としつつ、「現行法に問題があるのか、現行法が守られていないことに問題があるのか。それによっても変わる」と指摘した。
自民各派は近年、活動資金をパーティー収入に依存している。6日の政府・与党連絡会議後、公明党の山口那津男代表は首相官邸で記者団に、パーティー自粛を「国民の信頼回復に向けての一環」と評価したが、自民内には「収入減により派閥の存続が危うくなる」(麻生派関係者)との声も上がっている。
首相は先に政治資金収支報告書の訂正などを茂木氏を通じて各派に指示。4日の党役員会で「党としても対応を考える」と語ったが、事実関係の解明を待つ姿勢を見せたため、与党内から「対応が後手」「派閥任せ」などと批判が出ていた。
政治資金規正法は1回のパーティーに関して合計20万円超のパーティー券購入者の氏名や金額を公開するよう義務付ける。党内5派閥はこれを怠ったとして東京地検特捜部に告発され、安倍派と二階派には収入の裏金化や過少記載の疑いも浮上している。