若者を中心に広がる市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)を巡り、厚生労働省は30日、乱用の恐れがあるせき止めや風邪薬などの販売規制を強化する方針案をまとめた。20歳未満は大容量の製品や複数個での販売を禁止し、小容量の製品1個の販売とする。対面または映像と音声によるオンライン購入を原則とし、薬剤師などが氏名や年齢などを確認する。
同日の検討会で示された。市販薬には違法薬物に似た成分が含まれる製品もあり、大量服用を続けると依存症になる恐れがある。厚労省は12月にも検討会を開き、取りまとめを行う。
同省は2014年、処方箋が不要な一般用医薬品のうち、せき止め薬に使われるコデインなど6成分を「乱用の恐れのある医薬品」に指定。これらの成分を含む一般用医薬品について、中高生らが購入する場合は原則1人1包装とし、店舗側に氏名や年齢の確認などを求めてきた。
ただ、店舗側に販売の記録義務はなく、ルール事項の順守も徹底されていないという。国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)が21年度に実施した調査では、高校生の約60人に1人が「過去1年以内に乱用目的で一般用医薬品を使用した」とのデータもあり、ルールの実効性を高める声が上がっていた。
新たな方針案では、必要に応じて購入者の年齢確認を行い、過剰服用への注意喚起を義務付ける。20歳未満は他店を含めた購入履歴などを確認した上で販売し、20歳以上も複数個・大容量を販売する場合は同様の確認を行う。マイナンバーを活用した購入履歴の一元的管理も今後検討する。