総務省が日公表した2022年の政治資金収支報告書で、自民党安倍派など5派閥の政治団体が政治資金パーティーの会費などとして支出を受けたうち、少なくとも計558万円分について記載がなかったことが分かった。
政治資金を巡っては、自民党の複数の政治団体が21年まで4年間のパーティー収入計約4000万円を記載しなかったとして政治資金規正法違反容疑で刑事告発され、東京地検特捜部が捜査している。今回判明した22年分も同法違反に当たる可能性がある。
5派閥は、安倍派(清和政策研究会)、麻生派(志公会)、茂木派(平成研究会)、二階派(志帥会)、森山派(近未来政治研究会)。
同法は、1回のパーティーで20万円超の支出をした個人・団体の名前や金額を収支報告書に記載するよう義務付けている。
公表された収支報告書で、「パーティー券購入」や「会費」などの名目で政治団体が各派閥側に支出したとされる金額が、派閥側の収入として記載されているかどうかを調べた。
その結果、清和政策研究会は1団体からの28万円について記載がなかったほか、別の1団体からの収入を6万円過少記載していた。志帥会は4団体からの計286万円、平成研究会は1団体からの26万円を記載していなかった。
志公会は1団体からの180万円を記載していなかったほか、別の団体からの収入を2万円過少記載していた。森山派は1団体からの30万円が不記載だった。
各派閥は「事実を確認し適切に対応する」などとしている。
政治資金に詳しい岩井奉信日本大名誉教授(政治学)は「最近は『見つかれば修正すればいい』と政治家が制度をないがしろにする傾向がある。報告書を電子化するなど、在り方を考えていかなければいけない」と話した。