【エルサレム時事】イスラエルとイスラム組織ハマスは22日、それぞれが拘束する受刑者や人質の一部を解放するとともに、戦闘を少なくとも4日間休止することで合意した。交渉の仲介に当たっていたカタールが合意内容を発表した。10月7日の衝突開始後、ある程度の期間の戦闘休止を伴う合意が成立したのは初めて。
パレスチナ自治区ガザには、約240人の人質が拘束されている。カタール政府によると、ハマスがこのうち女性と子供の計50人を解放するのと引き換えに、イスラエルは同国内で収監しているパレスチナ人の女性や子供を釈放。合意の履行に応じ、解放・釈放される人数は増えるという。これまでにハマスが解放したのは、高齢女性ら計4人にとどまっている。
戦闘休止は4日間で、開始は23日以降になる見通し。AFP通信によると、イスラエル政府は声明で、ハマス側が追加で人質を10人解放するたび、休止を1日延ばすと説明している。
この間、極度に悪化しているガザの人道状況改善に向け、イスラエルは人道目的の燃料を含む「多くの支援物資」の搬入を認める。
イスラエルのネタニヤフ首相は、合意承認のための閣議冒頭、「難しい決断だが、正しい決定だ」と強調した。AFPによれば、ハマスは声明で、釈放されるパレスチナ人が150人になるとの見通しを示した上で、「占領者(イスラエル)が合意を尊重する限り、われわれも『停戦』を守る」と表明した。
ただ、ネタニヤフ氏は閣議で、戦闘休止がハマスとの戦争を放棄することにつながるとの観測を「ばかげている」と一蹴。ハマスの排除と人質全員の帰還を果たし、ガザからの脅威がなくなるまで「戦争を続ける」と明言した。
交渉が大詰めを迎えた中でも、イスラエル軍はガザへの攻撃を続けた。22日の中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、検問所のあるラファなど南部でも空爆を加え、南部ハンユニスでは住宅が攻撃され少なくとも人が死亡。ガザでの死者は22日までに1万4000人を超えた。
また、世界保健機関(WHO)は、これまでに医師ら医療従事者53人が職務中に命を落としたと明らかにした。報道関係者の犠牲も相次ぎ、米拠点のジャーナリスト保護委員会(CPJ)の集計では、パレスチナ人46人を含む53人が死亡している。