ここ数年、高騰し続けていたイクラが今年、値下がりしている。売れ行き悪化で増えていた在庫を処分する動きが出てきたほか、海外産原料の輸入が順調だったため。年末年始の需要期に向け、昨年より買いやすくなったイクラを店頭で見掛ける機会が増えそうだ。
東京・豊洲市場(江東区)の11月上旬の冷凍イクラの卸値は、北海道産が1キロ当たり8000~1万円で、昨年より2~3割値下がりしている。仲卸店では200~250グラム入りが2000円前後で売られており、高値がピークだった昨年末に比べ1000円近く安くなった。
取引価格が下がった理由について同市場の卸会社は「消費不振で全国的に在庫が増え、保管料などもかさんだため」と説明。値下げによって在庫の消化と取引の活性化を見込んでいる。また、ロシア産原料を使って国内で加工したイクラの供給が増えたことも一因だという。
今年は親魚のアキサケが不漁で、北海道の9月以降11月上旬までの水揚げ数量は前年より約35%減少。サケの水揚げが減ってもイクラが値下がりするのは「極めてまれなケース」と豊洲市場の仲卸は話す。
11月上旬の都内鮮魚専門店の小売価格は、通常価格が100グラム当たり1500円前後で、特売時は同1000~1200円。大手通販サイトには500グラムの化粧箱入りが送料込みで約5500円と、卸値並みの特売をアピールする北海道の店舗もあり、人気を集めている。