伊藤忠商事は17日、保険金不正請求問題を起こした中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)の再建の可能性を検証するため、企業価値を評価する資産査定を投資ファンドと組んで開始すると発表した。再建できると判断すれば買収に踏み切る方針で、来年春までに結論を出す。
伊藤忠は自動車関連事業を幅広く手掛けており、相乗効果を見込めると判断した。伊藤忠と子会社の伊藤忠エネクス、独立系投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズの3社が同日、BMとの間で資産査定を独占的に実施することで基本合意書を締結した。BM創業家が経営に関与しないことでも合意した。BMは未上場企業で、その株式は創業家の資産管理会社が保有している。
伊藤忠は、グループで中古車販売や自動車の整備、保険代理店事業などを行っている。出資先には自動車リースの東京センチュリーや輸入車販売のヤナセがある。伊藤忠エネクスは、ガソリン販売やディーラー事業を展開している。
BMを巡っては、国土交通省が10月、全国34店舗で道路運送車両法違反が確認されたとして、整備工場の事業停止などの行政処分を出した。金融庁もBMの保険代理店登録を今月30日に取り消す方針を固めており、処分に先立ち21日にBMの意見陳述の機会を設ける。