4月の東京都江東区長選を巡る公選法違反事件で、東京地検特捜部は16日、関係先として自民党の柿沢未途衆院議員(52)の地元事務所(同区)や秘書、江東区議の自宅を家宅捜索し、柿沢氏の秘書らから任意で事情聴取した。
区長選を巡っては、木村弥生元区長(58)の陣営が投票を呼び掛けるインターネットの有料広告動画を配信したとして、特捜部が公選法違反容疑で捜査。柿沢氏は10月、木村氏にネット広告の利用を勧めた責任を取って法務副大臣を辞任し、木村氏も今月15日付で辞職した。
また、柿沢氏は区長選前に複数の区議らに現金を渡したとされる。特捜部は同氏の関係者や区議らから任意で事情を聴くなどして買収の趣旨がなかったか調べており、捜索で押収した資料を分析し、実態解明を進める。
区長選は4月23日に投開票された。自民推薦候補も出馬して「保守分裂」の構図となり、江東区を選挙区とする東京15区選出の柿沢氏が支援した木村氏が初当選した。
関係者によると、柿沢氏が「ネット広告は有効な方法だと聞いたので、やってみてはどうか」と木村氏側に提案。動画は柿沢氏側が予約した国会議員会館(東京・永田町)の会議室で撮影されたとみられ、ユーチューブで約38万回再生された。木村氏は任意聴取に容疑を認めているという。
一方、柿沢氏は区長選前の数カ月間に、江東区議らに現金を渡したとされ、複数の区議が取材に、区長選と同時に行われた区議選の陣中見舞いとして受け取ったと認めた。その上で「区長選の支援はお願いされていない」と違法性を否定した。
公選法は、候補者の氏名などを示した有料ネット広告の掲載や、選挙で特定の候補者を当選させる目的で有権者や選挙運動員に金品を渡すことを禁じている。